彼女は華奢な小さな指を赤い口に当て、
誇らしげにお尻を振りながら、
全くこっそりと 、 はにかんで入って来た。
コ-トを脱ぐと、 彼女は真裸だった。
(『モンパルナスのキキ』の序)
『モンパルナスのキキ』と呼ばれた女性
Alice Prin(アリス・プラン)。
恋人マン・レイの被写体として、またアタシが敬愛する
レオナール・フジタ(藤田嗣治)を始め、キスリング、
ユトリロ、 モディリアーニ、ピカソなどの有名芸術家達の
モデルとして 注目を浴びた女性ですが・・・、
水腫に冒され、内出血のために亡くなった彼女が最後に住んで居たのは、
度の強いアルコールと麻薬に満ちた屋根裏部屋だったといいます。
娼婦、ヌードモデル、ナイトクラブの歌手、画家…
時代に翻弄されながら駆け抜けたキキの「生きた証」は
今も絵画と写真によって、永遠に残り続けています。