最近よく、『草原』とか『風』といったワードが、
頭の中を駆け抜けていく。
忙し過ぎるゆえの逃避行かしら・・・。
お昼休みに、『草原』をキーワードにネットサーフィン中
偶然見つけた印象的な詩。
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(Jean Nicolas Arthur Rimbaud 1854-1891)
というフランスの詩人によるもの。
この詩は彼が16歳の頃に書いたものらしく、
彼が「早熟の天才」と評されていることは大いに頷けます。
Le Dormeur du val (谷間に眠る男)
C'est un trou de verdure ou chante une riviere
Accrochant follement aux herbes des haillons
D'argent; ou le soleil, de la montagne fiere,
Luit: c'est un petit val qui mousse de rayons.
Un soldat jeune, bouche ouverte, tete nue,
Et la nuque baignant dant le frais vresson bleu,
Dort; il est etendu dans l'herbe, sons la nue,
Pale cans son lit vert ou la lumiere pleut.
Les pieds dans les glaieuls, il dort. Souriant comme
Sourirait un enfant malade, il fait un somme:
Nature, berce-le chaudement: il a froid.
Les parfums ne font pas frissonner sa narine;
Il dort dans le soeil, la main sur sa poitrine
Tranquille. Il a deux trous rouges au cote droit.
ここはみどりの穴ぼこ 川の流れが歌をうたい、
銀のぼろを狂おしく岸辺の草にからませる
傲然と立つ山の峰からは太陽が輝き
光によって泡立っている小さな谷間だ
若い兵士がひとり 口をあけて 帽子も被らず
青くみずみずしいクレソンにうなじを浸して
眠っている 草むらに横たわり 雲の下
光り降り注ぐみどりのベッドに 色あおざめて
グラジオラスに足を突っ込んで ひと眠りしている
病んだ子供のようにほほ微笑みながら
自然よ あたたかく揺すってやれ 寒いのだから
かぐわしいにおいに鼻をふるわせることもなく
かれは眠る 光をあび 静かな胸に手をのせて
右の脇腹に赤い穴がふたつのぞいている
-宇佐美斉 訳 ちくま文庫ー